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法律を学ぶ意義は「法的センス」を身につけることにある


法律を学ぶことの意義は、法律の知識そのものを得ることよりも 法律的な物の考え方、捉え方ができるようになること、言わば「法的センス」を身につけることにある、と常々考えています。


そこで、その法的センスの中身を考えてみたいと思います。 特にこのブログで言及しておきたいのは、法律を学ぶ人、そして法律の知識をベースに社会活動をする人が立脚すべき 二つの思想についてです。

その二つとは、信義誠実の原則と、弱者保護の思想 です。

  • 信義誠実の原則(信義則)
  • 弱者保護の思想

今回は、弱者保護について書きます。


社会と弱者 (社会は弱者を生む)


私たちの社会には常に「弱者」が存在します。 根源的に、社会そのものが弱者を作り出すのであり、社会が姿を変えると、その社会における弱者も変わります。つまり、新しい社会の仕組みが形成されれば、そこに必ず新たな弱者が生まれてしまうのです。


社会が新しい制度・仕組みを取り入れるのと同時に、その制度・仕組みが生み出すであろう新たな弱者を想定し、その弱者を守る手立てをあらかじめ講じることが出来れば理想的ですが、今日の社会変化のスピードはそうした余裕をゆるしません。


弱者は、自分から声を上げることができません。いや、そもそも、自分たちが弱者であるということに気付かない、認識していないことが多いのです。 そのため社会はなかなか弱者の存在に気付きません。そして、弱者の数が増えて社会全体に歪みが見え始めたとき、あるいは弱者と、弱者ではない人との間で由々しき対立が起こったりしたときになってようやく社会が弱者の存在を認識することとなります。しかし往々にしてそのときには既に深刻な権利侵害や人的被害が起きてしまっています。


それでは遅すぎます。もっと早く社会が、その社会を構成している私たちが、弱者の存在に気づかなければなりません。できることならば弱者の出現を予見し、誰かが不当な不利益を被る前に手を打てるような社会でありたいものです。それには私たち一人一人が弱者の存在、そして誰かが弱者に陥る可能性に気付くセンスを持つことが必要です。



法律を学ぶことで、弱者が見えてくる


日本における民法をはじめとする私法の領域では、立法も司法も、弱者の保護に頭を悩ませ、弱者の権利保護と社会の利益・発展のバランスという難題と闘い続けてきました。 ですから、その軌跡を学ぶことによって、

  • どのような人々を弱者として認識すべきか?
  • 社会が保護すべき弱者の利益とはどんなものか?
  • 弱者の権利と社会全体の利益をどうやってバランスさせるのか?

といった課題に目を向け、考えを深めることができます。

さらに不合理なパワーバランス、権限の集中、不透明性といった、「弱者が生まれてしまう予兆」を敏感に察知できるようになります。 さまざまな不公平、不正、そして種々のハラスメントが起こる危険を感じ取り、その発生を抑制する力として関与できるようにもなります。


法的センスが、人としての感性を輝かせる


もっとも、その基礎力となるのは私たちが子供の頃から自然に身につけてきた人としての自然なフィーリングです。みんなが得られるものを誰か一人だけ得られないのはよくない、弱い者いじめをしてはいけない…といった、真っ当な人間的感覚の土壌があってこそ 法的センスは存立しえるのです。


逆に言えば、人としての感性が十分に育っていない人が法律を学ぶべきではありません。 弱者保護に興味のない人が高度な法律知識を持ってしまったら大変なことになります。 他の多くの技能・知識がそうであるように、法律の素養も、元来は弱い立場の人を助けることのできるものでありながら、持つ人の心がけひとつで凶器にもなりえます。


自分の職場や、地域コミュニティ、そして社会が健全なものであってほしい、そのために自分から何らかの働きかけをしたいと思ったとき、法的センスは必ず役に立ちます。 言いかえると、法的センスは、あなた自身の中に育まれてきた人間的感性を 社会制度の中に具現してゆくためのツールなのです。


ですから、私は少しでも多くの人、とりわけ若手の社会人の皆さんに、基礎的な法律の学習を通して法的センスを身につけていただきたいと思うし、私自身も 法的センスを身につけ、それをベースにして、種々の問題の解決に向かう一市民でありたいと思っています。

 自分は記憶力がないから試験を受けてもどうせ受からないという人によく出会います。子供のころから学生の頃にいたるまで、学力で人に秀でたことなど無いのだから国家試験など受かるはずもないと思い込んでいる人が実にたくさんいるのです。 

試験に受かること、資格をとることが、人生において不可欠とまでは思いません。 けれども私にとっては多くの人が思い込みや誤解、誤認によって自分の可能性を狭めてしまっていることが残念でなりません。 


記憶力を要する試験、記憶力の要らない試験 

さまざまな試験の中には、多くの事柄を暗記しなければならない、並外れた記憶力を要求される試験もあります。しかし試験の多くは、記憶力よりも、思考力、理解力、あるいは繰り返しの訓練によって磨かれる「技能」を測るものであって、必ずしも記憶力を要しないのです。 


試験の性質を俯瞰する 

試験には、技能試験、知識試験、適性試験、思考力・理解力試験…といった、さまざまな「性質」があります。いくつかの試験について、これらのうちどれに当てはまるのかを、検証してみたいと思います。 


日商簿記検定試験 

簿記検定は典型的な「技能試験」です。技能試験とはすなわち、繰り返しの練習によって錬磨される技能を判定する試験です。つまり、記憶力にはあまり依拠しない試験といえます。逆に言えば、多少頭がよい人、記憶力に優れた人といえども、練習を積み重ねなければ合格できない試験です。地道な人が、要領の良い人に打ち勝つ試験です。 


ファイナンシャル・プランニング技能士試験(FP試験) 

FPはやや暗記する項目の多い知識試験です。税率や利率、計算式のように、数値的なものを暗記しなければならないことも多く、従って記憶力に自信のない人にはやや不利な試験と言わざるを得ません。しかし、逆に言えば、特に3級は、暗記さえしてしまえばよい試験とも言えます。FP試験には学科試験と実技試験の2区分がありますが、いずれについても同様です。2級にになると、ある程度、思考力・理解力試験、そして技能試験的な要素も出てきます。結論として、FP試験は 記憶力に依拠するところの多い試験です。 


ビジネス実務法務検定・宅建士試験・行政書士試験 

法律の試験は、記憶力の闘いと信じている人が多いのだろうと思います。しかし、実際には記憶力ではなく、理解力・思考力の試験だと思います。とりわけ、論理の流れをつかむ、ある論理を別の事象に当てはめる、置き換える、さまざまなスタイルで、本質を理解する力が問われると思います。多少記憶力が優れていても、理解・思考ができなければ合格しません。 


試験の難易度も人によって変わる 


資格試験の難易度ランキングというサイトが多数ありますが、実際に資格試験を受験する場合、上に書いたような、個々の試験の性質が自分の適性と合っているかどうか、ということのほうが、合否までの道のりに大きく影響します。つまり、試験どうしの難易度の高低比較は、人によって大きく違ってくるのです。 


たとえば、あるサイトでは、社会保険労務士試験(社労士試験)が行政書士試験とほぼ同じ難易度とされています。しかし、社会保険労務士試験は、たくさんの事柄を暗記しなければならない試験であるのに対し、行政書士試験は判例の理解がメインの試験である、という風に、試験の性質が大きく異なります。ですから暗記が得意で文章の理解は苦手という人には社労士試験のほうが易しく感じられるでしょうし、反対に、文章理解が得意で暗記は苦手な人には、行政書士試験のほうが取り組みやすいでしょう。 


以上のように、試験には、記憶力を要求するものと、記憶力があまり関係しないものとがあります。仮に「頭がよい、頭がわるい」というのが、記憶力のことを指しているのであれば、試験には頭のよい悪いと関係のないものが多いのだ、ということが言えます。 また 大抵の場合、勉強や練習の量によって、記憶力の個人差など問題にならないくらいのレベルにまでカバーされ得るものです。くれぐれも、「頭がよい、頭がわるい」といった曖昧な概念によって安易な見切りや妥協をし、可能性を捨ててしまわれることのないよう願ってやみません。

ビジネス実務法務検定の受験対策は公式問題集と公式テキストのみで合格を射程距離におさめることができます。

 参考(過去記事):公式テキストと公式問題集だけで合格射程圏 ビジネス実務法務検定3級

それでは、六法は不要なのでしょうか? 今回はその点を考えます。 


ビジネス実務法務検定対策に六法は不要か? 


ビジネス実務法務検定のテキストの中では、大方の法律知識について、たとえばこんな風に記述されています。 

「○○○については会社法に規定があり、一定の制限がはかられている(会社法○○条) 」

「○○○法によって、私的自由と公共の利益の均衡がはかられている(民○○条)」 

このように、法律の名前と、条番号が付されているのを見たら、是非、その条文を自分で確認する習慣をつけていただきたいと思います。 


条文を読む習慣を身につける 


試験勉強だけではなく、日常の社会生活、業務において法律に関わるような場面では、たとえば誰かが「法律上問題はないよ」とか「法定されている」といった言葉を聞いて、大ざっぱに納得したり、鵜呑みにしたりせずに、必ず関連法規の条文を自分の目で見て確認することがとても大切です。将来、法務部で仕事をしたり、公務員をめざしたり、あるいは法律専門職をめざすのであればなおさらのことです。


法律に関し、思い込み、思い過ごしは禁物で、何かトラブルになってからそれを他人のせいにすることも出来ません。 

法律に限らず、社内規定や、団体の会則であっても、ルールは必ずその明文規定を自分で読むことからスタートすべきです。 

ですから、理想的には六法を座右に置き、頻繁に条文を参照しながら学習を進めることをお勧めしたいところです。 とは言っても、六法は分厚くて重いです。ビジネス実務法務検定の公式テキストと公式問題集はかなり分厚く、その2冊だけでも相当な重量があるので、それに加えて六法をも鞄に入れて持ち歩くのは現実的じゃない、という声も聞こえそうです。 


条文の確認は インターネット 電子辞書でも 

六法を持ち歩きたくないのでしたら、六法は買わなくてよいと思います。そのかわり、参照すべき条文は必ず、インターネット、あるいは電子辞書などで必ず読むようにして下さい。 つまり、六法を買うことは必須ではないけれど、条文を読む習慣、そして自分で条文を確認しようという感覚を、身につけていただきたいというのが結論となります。

日商簿記3級を、スクールへ通わず独学でチャレンジしようとする方のために、独習向け教材をご紹介する記事、前回は

参考(前回記事):簿記3級独学独習者におすすめのテキスト(学習初期)

前回記事でふれたとおり、簿記試験は「技能試験」であるため、合格するためには知識を学ぶだけでは不十分であり、問題を繰り返し解く「練習」が必要です。


いま一度強調しておきます。簿記は勉強するのではなく練習することによって学ぶものです。


今回は、ひととおり基本事項を学んだ上で、本試験までに繰り返し解くことで実力を上げてゆける問題集をご紹介します。


この記事で紹介する簿記3級受験対策用問題集

  • 合格テキスト 日商簿記3級 Ver.9.0 (よくわかる簿記シリーズ)  TAC簿記検定講座 編
  • スッキリとける 日商簿記3級 過去+予想問題集 (スッキリわかるシリーズ)


合格テキスト 日商簿記3級 Ver.9.0 (よくわかる簿記シリーズ) TAC簿記検定講座 編

この「合格トレーニング」は、問題の順序(出題順序)が、学習テキストの章立てと同じように、学習項目ごとにまとめられています。つまり、たとえば消耗品の処理、固定資産・減価償却、試算表、決算といったテーマごとに問題がまとまっている問題集です。

基本事項をしっかりと確認するのに向いた「良問」がチョイスされています。良問を、理解しながら解く、というのはとても大切な学習プロセスです。その意味でこの問題集はぜひ取り組んでおきたい良書です。

ただし、本試験では、学習テキストで学んだ順序に出題されるわけではありません。また試験時間内にたくさんの問題を解く、「スピード感覚」も体得しておく必要があります。この問題集はその意味では、本試験の臨場感を得られないので、別途、過去問題集、予想問題集といった、本試験形式のトレーニングが必要だ、と考えたほうがよいでしょう。

また、この問題集の解答に付された「解説」はとてもあっさりしたもので、また解説の付されていない問題も多いです。重要事項はあくまでもテキストで確認する、というコンセプトなのだろうと思います。


スッキリとける 日商簿記3級 過去+予想問題集  (スッキリわかるシリーズ)

「合格トレーニング」とは異なり、こちらは本試験形式の問題集です。本試験のように、さまざまなテーマを問う問題が、本試験と同じ量、そして本試験と同じようにランダムに出てきます。また、こちらは「解答・解説」に相当なページ数をさいていて、丁寧な解説をつけています。答え合わせにおいて基本事項を確認するために、テキストに立ち戻る必要がほとんどないくらいの懇切さだと思います。


このように、今回とりあげた、合格トレーニング 日商簿記3級と、スッキリとける 日商簿記3級 過去+予想問題集は、どちらがよいというものではなく、別傾向の、もしくは別アプローチの問題集であると言えます。

合格トレーニングは基本事項のマスターに適し、一方スッキリとける…のほうは、スピード感覚と臨場感の体得に効果があります。


受験までの余裕があれば「合格トレーニング」で基本技能の完成をめざしつつ、受験までに一度は、スッキリ…のような本試験形式の問題にもチャレンジし、本試験のスピード感覚をつかんでおくという勉強がおすすめです。

英単語だけを機械的におぼえるのではなく、文章や会話の中で、文脈のイメージとともにおぼえるほうが効率の良い学習法であることは別の記事でふれました。

参考(過去記事):効率の悪い英単語学習法に決別すべきとき 高校生の英語学習を考える


今回は、文章や会話、短文とともに英単語を文脈でおぼえるコンセプトを採用した教材を幾つかご紹介します。


今回ご紹介する教材は 以下の 2シリーズ 計5冊です。

いずれも 単語を、その使用法、イメージとともにおぼえることができる良書です。


  • 速読英単語 必修編 (風早寛 著 Z会)
  • 速読英単語 入門編 (風早寛 著 ・Z会)
  • 速読英単語 中学版 (風早寛 著 Z会) 
  • 英単語・熟語 ダイアローグ 1800 (秋葉利治・森秀夫 著 旺文社)
  • 英単語・熟語 ダイアローグ Basic 1200 (秋葉利治・森秀夫 著 旺文社)


速読英単語 必修編 (風早寛 著 ・Z会)

速読英単語シリーズのコアとなる「必修編」。速読英単語の登場により、高校生の英単語勉強スタイルは大きく変わりました。単語カードの表に英単語を、裏に日本語の意味を書いて、通学途中のバスや電車の中で捲り捲り単語を頭に刷り込むという光景が過去のものとなったのです。「生きた単語力」を身につけるために有効なスタイルを形にした、先駆的な教材です。


このシリーズの優れた点のもう一つは、採用されている文章がいずれも、知的好奇心をくすぐる、内容豊かな文であることです。「書かれている内容がおもしろい」というのは、英語の教材をえらぶときに極めて重要なことです。



速読英単語 入門編 (風早寛 著 ・Z会)

速読英単語の「入門編」は、同シリーズの必修編、上級編よりもずっと後になってから刊行された、新しい本です。必修編よりも文字がひとまわり大きく、また英文も少し短いものになっています。ターゲットされている単語は、中学3年~高校1年生くらいの間に習得しておきたい基本語が中心となっており、また日常会話でも使用頻度の高い単語でもあります。つまり、重要語であるということもできます。中学3年までの、学校での英語の成績はまあまあだった、という人も、この速読英単語入門編でリーディング→リスニングをすることで、記憶の淵に埋もれた単語を、話したいとき、書きたいときに、自然にすっと出てくる単語としてリフレッシュできると思います。


速読英単語 中学版 (風早寛 著 Z会)

速読英単語の中学生用があるということを筆者も最近知りました。英語を、単なる受験科目としてではなく、将来、豊かなコミュニケーションツールのひとつとしてゆくことを見越して、早期からよい英文をたくさん読み、その内容から感じ取る力をつけたいものです。採用されている文は科学、歴史、現代社会などいずれも内容豊かで面白い良文です。単語学習の教材としてではなく、リーディング力・リスニング力をも培う総合的な教材として繰り返し取り組む、そういう価値をも感じさせる秀逸な教材です。



英単語・熟語 ダイアローグ 1800 (秋葉利治・森秀夫 著 旺文社)

速読英単語シリーズが「文章」を主体としているのに対し、英単語・熟語ダイアローグでは「会話」の中で英単語をおぼえるコンセプトとなっています。この「1800」は、TOEIC 700点~850点レベルとされている中・上級者向き教材です。


英単語・熟語 ダイアローグ Basic 1200 (秋葉利治・森秀夫 著 旺文社)

「Basic 1200」は、TOEIC 500点~650点レベルとされ、初級~中級学習者向け、です。会話文に、多彩な日常会話表現が出てくるので、リスニングしたり、リピートしたりすることで、単語・熟語力だけではなく総合的な英語表現力につなげてゆくことができます。


付属CDも活用して総合的な英語力の向上をめざせる

ところで、速読英単語シリーズには、別売りでCDセットがあり、ダイアローグシリーズは付属CDが同梱でついています。良質の英文を、音声で聴き、音読し、さらにシャドウ-イングまで習熟することはプロの通訳者も取り入れている有効なトレーニングです。速読英単語シリーズも、英単語・熟語ダイアローグシリーズも、それぞれ英語学習教材のメインに据えてもよいクオリティを備えていますので、ぜひ読む・聴く・話すの総合的トレーニングに活用してはいかがでしょうか?


同様のコンセプトによる優れた教材が 他にも刊行されています。いずれまた別の記事で追加的にご紹介します。

今回は、数ある法律系資格試験の中から、ビジネス実務法務検定2級・3級、宅建士(宅地建物取引士)、行政書士を独学でチャレンジする場合の 難易度について考えてみたいと思います。


ところで、これから法律系の資格試験にチャレンジすることを考えていて、どの資格に挑戦すべきか迷っている人には、試験難易度よりも先に知っておくべきことがあります。それはこれらの試験の性質の違いです。


試験の性質の違い


ビジネス実務法務検定

ビジネス実務法務検定は、東京商工会議所が主催運営する検定試験です。公的資格ではありますが、国家試験ではありません。 社会人全般を対象に、社会生活上身につけておくべき法務知識を幅広く問う試験です。 独占業務(=この資格を持っている人しかできない業務)があるわけではありません。


宅建士(宅地建物取引士)

宅建士(宅地建物取引士)は不動産取引を行うのに必要な国家資格です。宅建士有資格者のみに認められた独占業務があります。また、不動産取引をする場合、営業所ごとに一定数の宅建士を配置しなければならないことが法律で定められています。


行政書士

行政書士は、官公庁に提出する文書を他人にかわって作成する場合、あるいはその申請を代行する場合に必要な資格です。つまり役所に出す書類を他人の代理で作成するのでしたら行政書士の資格を持っていなければなりません。


どの資格にチャレンジするかは、難易度で決めるのではなく、こうしたそれぞれの試験の性質もしくは性格のちがいをふまえて決めるべきです。


さて、難易度の話にうつります。


ビジネス実務法務検定3級・2級、宅建士、行政書士の難易度のちがい


4つの試験を 難易度が高いと思われる順序で書くと


  1. 行政書士試験
  2. 宅地建物取引士(宅建士)
  3. ビジネス実務法務検定2級
  4. ビジネス実務法務検定3級


の順番です。これはあくまでも筆者自身の受験・合格体験にもとづく所感です。


しかし、出題範囲(出題される法令の範囲)、出題形式も異なるので、あたかも英検を4級から1級に向けてチャレンジしていくようなシームレスな道を想定するのは間違いです。


もっとも、将来どのような業種・職種を指向するかに関わらず、学んでおいて損がない、と言えるのは「ビジネス実務法務検定」です。いわば社会人としての一般教養のようなものです。ですから、現時点で不動産業界への就職とか、独立開業とかを具体的に考えているわけではないけれど、法律を集中して勉強してみたい、自分が法律職に向いているかどうか見極めたいという人には、ビジネス実務法務検定の受験をお勧めしています。

日商簿記検定3級を スクールへ通わずに独学でチャレンジすることを検討されている方も多いと思います。今回は まったく簿記の学習経験のない方が、最初に取り組むのに適したテキスト・問題集をご紹介します。


今回は①独学者向け、②学習最初期向けという 二つの観点から あえて2冊にしぼります。

  • スッキリわかる 日商簿記3級 テキスト&問題集 滝澤ななみ著 TAC出版
  • サクッとうかる日商3級商業簿記 テキスト+問題集 桑原知之著 ネットスクール


スッキリわかる 日商簿記3級 テキスト&問題集 滝澤ななみ著 TAC出版

テキストと問題集が一体となった非常に使いやすい教材です。

問題編の基本問題とは別途、巻末に本試験の出題形式に沿った模擬問題が収録されています。

問題編の「解答用紙」は、拡大コピーして使うと便利です。


サクッとうかる日商3級商業簿記 テキスト+問題集 桑原知之著 ネットスクール

スッキリわかる…と同様、テキスト・問題集一体型教材です。

問題編は 問題のすぐ下に回答欄がつけられている形式です。問題編をそのまま 見開きB4サイズほどに拡大コピーして練習すると使いやすいです。


この2冊のうちどちらがおすすめかと聞かれたら?

この2冊を比較するところ私の所見での優劣はありません。どちらも、丁寧で分かりやすい説明がされていて、独学者に寄り添う良書だと感じます。「あなたならどのテ手キストを買いますか?」と問われて、迷うことなく名前を挙げられるのはこちらの2冊です。

2冊のうちどちらをより強く勧めるか?といえば、「サクッとうかる」(ネットスクール)のほうですが、あくまでもその理由は、筆者自身がこのテキストを使って独習し試験に合格できたからです。それ以上でも以下でもありません。


簿記試験はテキストだけでは受からない。

簿記検定は「技能試験」です。勉強するのではなく、練習して受かる試験です。今回挙げた教材は、あくまでも学習初期において基本知識を学ぶことがメインで、この2冊だけでは問題練習の量が不足です。 この記事とは別の記事で、日商簿記3級の対策におすすめの問題集、をご紹介します。

効率の悪い英単語ひたすら暗記学習 

先日、高校生に英語を教えていて知ったことですが、今この時代においても 単語を一語一語 機械的に暗記する勉強をしている高校生がいて、それも、その子が通う高校の英語の先生が指示した宿題だということでした。それは、30年も前には当たり前の光景であったものの、私としては、てっきり今はもう廃れたと思っていた、言わばレガシー的な英語学習法でした。 良くも悪くも、懐かしさを感じました。 


機械的学習法と文脈学習法 

単語だけを、たとえば動詞を何語、形容詞を何語、名詞を何語おぼえるといったノルマ的目標を課しておぼえる学習を、仮に「機械的学習法」と名付け、対して 単語を長文や会話の中で出会ったときにそのつどおぼえてゆく学習法を「文脈学習法」と呼ぶことにします。 英語教育に従事される方々一人一人にそれなりのお考えがあってのこととは思いますが、私自身は、英単語を機械的におぼえる勉強をいっさいやらずに実務現場で使える英語を身につけることができたという自分自身の経験にもとづいて、中学・高校生にも、英語を学ばれる若い皆さんにも、「英単語は会話や文章の中でおぼえる(文脈学習法)のがよい」と助言しています。 単語だけをおぼえる(機械的学習法)よりも、会話や文章の中で その用法イメージとともにおぼえるほうが、はるかに効率が良く、記憶の定着もよいと確信しています。 また、機械的学習法でおぼえた単語は、英語で発信するニーズに対して、自然に出てきません。 そして、文脈の中で単語をおぼえたほうがよい、いちばん大きな理由は 言葉のイメージをおぼえることができ、アウトプット時に適切な使い分けができることです。 


速読英単語以前と速読英単語以後 

Z会(増進会)出版社から 「速読英単語」が登場してから、日本の高校生の英単語学習法は新しい時代に入りました。単語カードの表に英語のスペルを、裏に日本語を書いて、ひたすらめくりながらおぼえる英単語学習は終焉をむかえ、「文章の中で、音読しながら、リスニングしながら」英単語をおぼえる時代に入ったのです。 このことが、それまでの学校英語の欠点の一つを払拭し、周辺アジア諸国の後塵を拝しているといわれる日本人の英語力を、少しは底上げしたのではないかと私は思っています。以来、単語を文章の中で、あるいは会話の中でおぼえるというコンセプトの教材が多数 刊行されています。 「速読英単語」の登場が日本の英単語学習をとても良い方向に変えた と私は思っています。


まとめ 

中学生も高校生も、大人が考えているよりもずっと多忙な毎日を送っています。限られた時間のなかで少しでも効果の高い、効率の良い勉強をしてもらいたいと思います。 私は 英単語を機械的に学ぶ学習は 無駄の多い、非効率な学習法だと感じるので、中学生・高校生には必ず、そして英語を学ぶ社会人の方にも、文脈学習法を推奨していきます。

簿記検定同様にだれでも受験できる財務会計系の資格試験として、大阪商工会議所の主催する「ビジネス会計検定」があげられます。


ビジネス会計検定と簿記検定との違い

「簿記」が行き着くところ決算書すなわち財務諸表をいかにして作るかという知識の体系であるのに対し、このビジネス会計検定によって判定・証明されるのは、決算書=財務諸表から情報を読み取る能力・知識です。かつて大阪商工会議所によるビジネス会計検定の公式Webサイトには「財務諸表読解力検定」という別称が付記され、この資格試験がどういう試験であるのかをよく言い表していたと思います。

一言にまとめると簿記検定は財務諸表を作る力、ビジネス会計検定は財務諸表を読む力です。


ビジネス会計検定の就職・転職における優位性はあるか?履歴書に書けるか?

ビジネス会計検定の3級、2級を取得していることが一般企業への就職で有利になるか?という点について考えてみます。

まず、経理・会計部門への応募において、ビジネス会計検定の有用性は簿記検定に遠く及びません。また、求人要項に「簿記2級以上」と書かれている場合、ビジネス会計検定2級なら持っていますと言っても用をなしません。前述のとおり簿記検定とビジネス会計検定ではその判定している能力分野が全く異なるからです。

一方、履歴書に書ける資格ではあります。簿記検定に関する記事でも書いているとおり、経理・会計部門以外のあらゆる職種において、会計的なセンス(感覚)を身につけていることは重要であって、ビジネス会計検定はその点において簿記検定に劣るものではないからです。


ビジネス会計検定の勉強をすれば簿記の勉強は不要か?

会計に関する知識・感覚をきちんと身につけたいのであれば、財務諸表をつくる手順と、財務諸表から情報を読み取るノウハウの両方を身につけておくのがベストです。ですから将来、財務、経営をきちんと学びたいのであれば、簿記検定とビジネス会計検定の両方にチャレンジすることも有意義です。


ビジネス会計検定と簿記検定の難易度と受験順序

多くの資格関連サイトにおいて、ビジネス会計検定3級は、日商簿記検定の3級と2級の昼間に、ビジネス会計検定2級は、日商簿記検定2級と1級の中間に位置づけられています。筆者も基本的にそのランク付けには同意します。


しかしながら、効率の良い受験順序という点でいえば、簿記検定3級→簿記検定2級→ビジネス会計検定3級、というルートをおすすめします。


簿記検定2級を最終的に取得したいのであれば、簿記3級のあとブランクを空けることなく簿記2級にチャレンジするほうが学習効果が高く、そしてビジネス会計検定3級は簿記2級までの決算処理を理解していればとても簡単に理解できるからです。


もっとも会計・経理部門への就職を指向しない人は、簿記3級→ビジネス会計検定3級というルートでもよいと思います。また、簿記知識の前提がないとやや敷居が高くはなりますが、ビジネス会計検定のみ挑戦することも可能です。


ビジネス会計検定2級では、キャッシュフロー計算書など、簿記2級では学習しない、簿記1級でその作成方法を学ぶ財務諸表、計算書の読解問題も出題されます。しかし、決して簿記1級レベルの知識がないと難しいというほどの問題ではなく、簿記2級+ビジネス会計検定3級の裏付けがあれば、ビジネス会計検定2級はじゅうぶんに狙えると思います。

会社の場合一年間ごとに区切りを設け、「いくら儲かったか」 財産や借金がいくらあるかを明らかにして、公表する義務があります。そこに簿記の重要な役割があるのです。


会社には 決算報告の義務がある

 会社は一年単位で(事業年度・または会計年度とも言います) 

① いくら収入があったか、費用がどれだけかかったか、そしてその結果 いくら儲かったか 

② いま現在、会社(お店)には、財産がどれだけあるか、逆に借金はいくらあるのか

を明らかにしなければならない 


損益計算書と貸借対照表

① 一年間の収入と費用、儲けをあらわす表を 「損益(そんえき)計算書(けいさんしょ)」 

② 会社に財産や借金がそれぞれどれだけあるのかをまとめた表を「貸借(たいしゃく)対照表(たいしょうひょう)」 と呼びます。

この二つをあわせて 「決算(けっさん)報告書(ほうこくしょ)」として公表するのです。


簿記の大きな役割のひとつはこの「決算報告書」をつくることにあるのです。

みなさんは 日頃の収入や、支出を 家計簿(かけいぼ)や小遣い(こづか)帳(ちょう)につけていますか?将来に備(そな)えてお金を着実にためるためにも、不必要な出費をしてお金の無駄遣(むだづか)いをしないためにも、収入がいくらあって今月はいくら使ったのかを記録するのは大切なことですね。 


お店にも、家計簿やお小遣い帳に相当するものがあり、「帳簿(ちょうぼ)」とよばれるものです。 お店や会社も、「お金をかせぐ」ことが目的ですから、日々の収入や支出を記録することは重要で、ビジネスを続けていく上では欠かすことができません。それも、私たちの家計やお小遣いとはくらべものにならないほど、厳密に正確に記録をしているのです。 


お店や会社の家計簿=帳簿には、家計簿やお小遣い帳と大きく異なる特徴があります。 それは「記録の仕方にルールがある」ということです。 例えば、Aさんが記録した帳簿とBさんが記録した帳簿で、書き方や言葉が違っていたらあとで見た人が困りますね。お店や会社を経営するのに帳簿はとても重要な情報ですから、誰が見ても分かるように書式、書き方のルールが決まっているのです。 


ポイント

  • お店や会社ではお金などの出入りを厳密に正確に記録している お店や会社の家計簿を「帳簿」とよぶ 
  • 「帳簿」には、書き方のルールが決まっている 


そして その書き方のルールをおぼえることが「簿記」の勉強なのです。 



「簿記」 とは 会社やお店の帳簿のルール(記録方法)を学ぶこと 

法律をせっかく学んでも、法律の知識だけが身について、法律的センス、コンプライアンスの感覚が身についていないために、結局、適法な活動ができない、というこは現実の社会でよく見られます。


少し前のことになりますが、中央省庁において、障がい者の雇用カウントを水増ししていたという事件が報道されましたが、その報道内容を見聞して、少しでも社会人経験のある方であれば、こんな疑問を持たなかったでしょうか?


  • 担当者は、障害者雇用促進法でいう「障がい者」の定義を確認しようと思わなかったのだろうか?
  • 障がい者であることを確認する手順・方法が決められているはずだ、となぜ思わなかったのだろう?


たとえ省庁の人事担当者が法律の条文や、ガイドラインを知らなかったとしても、法律的センス、あるいはコンプライアンス感覚というべきものが身についていれば、このような不祥事は起こらなかったのではないかと思います。


こうした感覚、センスは、法律の勉強をしていなくても、社会経験を通してじゅうぶんに身につけ得るものです。


これからビジネス実務法務検定や宅建士、行政書士などを目指して学ばれるアブリオの生徒さんには、それらの知識を学ぶだけではなく、法律的センス、コンプライアンス感覚を発揮できる方であってほしいと切に願います。