簿記３級は履歴書に書ける資格？

一般に、会計・経理部門を志望するなら簿記２級以上を目指すべきであると言われています。大手資格予備校でも、簿記２級取得を前提にパックコースが組まれていることが多く、あたかも「簿記資格とは日商簿記２級以上のことを指す」というのが通念であるかのようにも見えます。

「簿記といったら２級以上でしょうか？ 簿記３級は 履歴書に書かないほうがいいでしょうか？」と相談してくる人が時々いらっしゃるのも無理からぬことです。

そこで、「日商簿記３級」を履歴書に書くべきか、書かざるべきか？について考えてみたいと思います。

ある資格・免許を履歴書に書くべきか書くべきでないかは一概に言えることではありません。数多の資格のどれ一つとして、絶対に書くべきとも、書くべきでもないとも、言えません。どんな業種のどんなポジションに応募するのか？業界でキャリアを積んだ専門人材として応募するのか？異業種への転職なのかetc、時と場合によって、見方が変わってきます。

順を追って考えてみましょう。

人材派遣会社への登録時に出す履歴書

「簿記３級」、ぜひ履歴書に書きましょう。簿記の基礎的な知識は会計・経理部門に限らず、どのような部署・部門でも役に立つスキルです。将来、正社員登用が視野に入っているならば、「複式簿記」のセンスを持っていることは一定の評価を得るはずです。

営業部門・企画部門への応募に出す履歴書

営業・企画部門においても簿記の知識は有用です。ですから簿記３級を履歴書に書くことはマイナスではありません。しかし、以下のことに注意したいと思います。

アピールの主点は営業・企画への応募動機か実務経験である

営業・企画部門の応募の際、採用担当者が着目するのは新人ならば応募動機や特性、キャリア採用ならば実績・実務経験です。「資格」ではありません。簿記も含めて、実績や実務経験よりも「資格」が前面に出てしまわないよう、応募書類作成にあたって気を配りたいものです。これはどの資格についても同様です。またどのような職種についても同様です。

会計・経理部門への応募に出す履歴書

まず、募集要項に「簿記２級以上」明記されていて、それを承知で簿記２級未取得のあなたが応募する場合、まずは資格要件を満たしていないあなたが選考対象になる余地があるのかどうかを率直に問い合わせてみましょう。その上で履歴書に「簿記３級」を書き、履歴書の添え状（送り状）には資格要件を満たさない応募であることと、それでもそのポストに応募したい理由を誠実に書きましょう。

「会計・経理の実務経験○年以上」と書いてある場合、あくまでも選考の前提条件が「実務経験」であるという点は資格要件以上にはっきりしていると言えます。募集要項で求められている実務経験があるのでしたら「簿記３級」を書くことは無意味でもないし、マイナスでもありません。しかし、求められている実務経験が無いのでしたら、簿記３級はもちろん、２級だろうと１級だろうと、選考対象となる可能性はきわめて低いと言わざるを得ません。

簿記試験での知識と、会計・経理の現場での実務経験には、大きな違いがあります。簿記試験に受かっているからと言って高をくくり実務経験を詐称して応募し、採用されても、現場に配属されればその嘘は立ち所にバレてしまいます。

新卒学生

簿記３級、ぜひ履歴書に書きましょう。

そして、なぜ簿記３級を受けようと思ったのか？を面接で聞かれたときにきちんと答えられるようにしておきましょう。

まとめ

簿記を初めて学ぶ人の多くが、まずは取り組みやすい簿記３級を取得し、その後さらに２級にステップアップを図る、穏当なコースを指向するのではないでしょうか？ 

最終的により上級の資格にトライしてゆくことの意義は否定する余地もありませんが、下位級であるからといって無意味であるとか、マイナスであるとか決めつけずに、積極的に受験チャレンジし、そして積極的に履歴書に書きましょう。